デイリー・テレグラフ (ロンドン) 1985年 9月25日 By Anthony Payne (日本語訳)

感動的な山下のギター

日本の若いギタリスト山下和仁は素手に彼自身のフィールドであるギター界ではかなりの評価を得ているが、今回クィーンエリザベスホールで確固たる重要性を持ったスターとしてイギリスでのデビューを行った。

 数を重ねるレコード枚数は彼の驚くべきテクニックの熟練をものがたる。今回のコンサートでみせたしばしば目をみはらせる奏法は、特に彼自身によるムソルグスキーの「展覧会の絵」の記録的編曲とその驚異的な演奏によって、彼が創造面、再創造面ともに、その頂点に達していることを示した。

 卓越した名人芸を必要とする場合には、速めのアイテムのいくつかが単なる見せ物になってしまう危険性もあるし、実際山下氏の熟練の前に、ムソルグスキーの内面が二議的になってしまったかの時もあったものの、多くの場合、例えば、フィナーレの間奏部分では遠くにバラライカを呼び起こすなど、美しい魔法の詩の瞬間は、たくさんありました。

 このはじめからおわりまで冒険的なプログラムで、我々は見事なそして感動的に印象づけられたブリテンのノクターナルの解釈と、完ぺきな厳然たる武満のフォリオスもきいた。

 リサイタルはジュリアーニの大序曲の燦然と輝く演奏によってひらかれた。

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